最近の若者とは価値観が合わないと悩まれている方は多いのではないでしょうか?無気力だしちょっと叱るとすぐにSNSで同期と共有、挙げ句にある日突然音信不通でそのまま退社…
これは今や珍しくない光景かのかもしれません。しかし彼らは決して無能なのではありません。ただただ、価値観が違うのです。
この「価値観の違い」という大きな問題について考えるにあたって、是非ともリーダー層に読んでもらいたいのがこちらの本「稼ぐために働きたくない世代の解体書 モチベーション革命」尾原和啓(幻冬舎)
この本を読めば我々がなかなか掴めないでいる「価値観の違い」の正体を理解でき、彼らを”どう活かすのか”についての多くのヒントを得ることができます。繰り返しになりますが、本書はリーダー層には必見と言えます。
2021年の春季労使交渉において、日本経団連がジョブ型雇用の推進を呼びかけました終身雇用の崩壊が叫ばれて久しいですが、ついに日本型雇用の崩壊が現実味を帯びてきています。
ではジョブ型雇用が促進されると何が変わるのでしょうか?それはますます「個」が重視されるということです。
「個が重視される時代」に必要なことって何だろう?
難しい問題ですね。では本書の内容に触れながら見ていきましょう。
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もくじ
「モチベーション革命」の概要
タイトルを見ると「モチベーションを爆上げする方法が書かれた本かな?」と思いますが、そうではありません。団塊の世代に代表される「上の世代」と、「今現在の若者」との価値観の違い(何に心を燃やすのか)が本書の最大のテーマであると言えます。
筆者である尾原和啓氏は当初「ゆとり世代」「さとり世代」と呼ばれる今の若い世代のことを馬鹿にし、『価値ゼロ』とまで思っていたそうです。まあここまでではなくとも、上の世代からするとその価値観の違いや一見無気力に見える彼らの言動に戸惑いを覚えるビジネスマンは多いと思います。本書はそんな若い世代との価値観の違いの正体や、AIが増長するこれからの時代における働き方、また彼ら若い世代をどう活かすべきかについてまとめられています。
こんな人に刺さるかも
- 30~40代の、これから組織の中心的存在となっていくビジネスマン
- 若手とのギャップに戸惑っている人
- 経営者、人事担当者など人を配置する立ち場にある人
超独断 父ちゃん的評価
総ページ数 | 258p |
父ちゃん読了時間 | 3日 |
父ちゃん的読みやすさ | 「読みやすい」 |
定価 | 1,500円+税 |
父ちゃん総合評価 | (4 / 5 Piggy-Points in Tooltip) |
イマドキの若者を見るにあたって、本書が一つの解であることは確か。でも、また違った切り口からも彼らを見ることができれば、もっともっと世界はうまく回り出すだろうし、読み終えた後にその可能性を感じさせる爽快感がありました。うん。
口コミ
読書メモ📝#65
🔶モチベーション革命/尾原和啓
①価値とは、差異×理解
人から理解される必要がある
②「有難い」有ることが難しい
→自分にはできないことは仕事として残る
③相手の好きを共感すると親近感がわく
▶️日々を振返り自分の価値を見つけよう‼️#読書体験発信#読書好きな人と繋がりたい pic.twitter.com/cPKrlLjzJp— yutto|子育てリーマン成長中 (@CS_Lehman_yutto) February 12, 2021
これ、最高でした。
自分が会社を辞めた理由がまさに言語化されていて、納得した。
モチベーション革命、読んでほしい。#プログラミング #副業 #フリーランス #駆け出しエンジニアと繋がりたい pic.twitter.com/YAS9mDebsD— 石ノ森ユウスケ@Web系フリーランス (@narazmonos) February 10, 2021
モチベーション革命 / #尾原和啓#読書好きと繋がりたい
物質欲求には疎く、精神欲求が満足する事に価値を置く現代の若者。
テクノロジーの発展で仕事も変化する未来に残されるのは、好きなことで提供し報酬を受けるやり方。
好きをどうやってお金に繋がるか、知りたい。https://t.co/d7bNjMk5hI pic.twitter.com/P7lUnR0ZYB
— K-ichi@読書元年 (@k_dokusho) February 1, 2021
モチベーション革命 要約
本書は1~4章に分かれているが、僕的には特にリーダー層に読んでもらいたい本なので、1~3章について要約します。第4章はどちらかというと今の若者たち向けの内容。もちろん彼らを理解するためにもリーダーにとっては頭に入れておいてほしい内容ですが、やはり根幹はこの1,2,3章になるでしょう。
- 第1章:「乾けない世代」とはなにか
- 第2章:偏愛こそが人間の価値になる
- 第3章:異なる「強み」を掛け算する最強チームの作り方
第1章:「乾けない世代」とはなにか
我々が子供のころに見てきた働く世代とは、文字通り身を粉にして働き、サービス残業や家庭を犠牲にすることなど当たり前の世代でした。仕事で成功を収めれば、今までできなかったことができるようになる。海外旅行、会員制バーのVIPルーム、美女と付き合えるようになったり…こういった自分の「乾き」を潤すことがモチベーションへと繋がっていました。
一方、今の若者は上の世代が既にある程度社会を作り上げてしまったので、「ないものがない」状態。だから「乾けない」。だから身近な存在である家庭、友人、はたまた自分(自分の人生)を大切にするようになるというわけです。
もう少し深く見ていきます。アメリカ人心理学者マーティン・セリグマンが唱えた「5つの幸福」というものがあります。幸せには5つの軸があるというものです。5つの軸とは「達成」「快楽」「良好な人間関係」「意味合い」「没頭」です。上の世代は上述の通り「達成」と「快楽」を追求してきました。一方、乾けない世代は「良好な人間関係」「意味合い」また「没頭」を重視する人が多いようです。いくら稼げるかよりも仕事に夢中になって時間を忘れてしまう事に喜びを感じる。言い換えると、孤軍奮闘で世間の波に揉まれるのではなく、仲間と一緒に何かに没頭するという充実感にやりがいを感じるという表現でしょうか。VUCAの時代だからこそ働き方には正解がありません。だからこそ、横一線で教育された我々よりも、自分にしかできないことを突き詰め、楽しみをお金に換えていくことができる「乾けない世代」は強いと言えるのです。だから決して彼らは無能なんかではないのです。
第2章:偏愛こそが人間の価値になる
AIの進化によって人間の仕事、特に単純作業は今後ますます減っていくでしょう。しかし新たな画期的なイノベーションは人間の偏愛、つまり人「誰が何と言おうとこれが好き」=偏愛から生まれるものです。ですからAIにはできない、一見非効率なこの偏愛こそが今後必要とされることになります。それはつまり、今よりもっと明確に『好きなことを仕事にする時代』の到来を意味します。
それに伴ってワークライフバランス、もしくはライフワークバランスなどと言われますが、そもそもこのライフとワークを切り離した考え自体が希薄になってきています。新しい考え方は「ワークはライフの一部である」というものです。好きなことをやっていれば、ある意味当然の感情の変化なのかもしれません。
ですがこの「好きなことを仕事にする」というのは簡単な事ではありません。自分にとって何が仕事に向いているのか。どの道が最適解なのか。この激動の時代に生きる10代20代の皆さんにとっては急に降ってかかった無理難題であると、僕には思えます。
今後、教育分野においてますます早い段階から専門性を高める形へシフトしていく必要を感じます。仕事のあり方の変化に合わせたある意味当然の動きであり、国の対応にスピードが求められます。
第3章:異なる「強み」を掛け算する最強チームの作り方
これまでの日本型教育、日本型雇用では画一的な人材を横一線で走らせることが正解でした。みんなおんなじ。はみ出すことはしちゃダメってやつ。特に高度経済成長期などはこれで十分に成果が出ました。
しかし、これまで述べたようにこれからは個の時代。上司の言うことを聞くだけの思考停止社員ではモノは売れないし、いいモノは生み出せない。そのような組織も当然生き残れません。この章で、これから推奨されるであろう「個」を活かしたチームについて面白いたとえが登場します。それは「理想はゴレンジャー?」という秀逸ワードです。メンバーそれぞれが得意分野を活かして、チームとして課題に取り組んでいく。誰か一人が圧倒的に強いのではなく、お互いがお互いを補完しながら戦うというのはこれからの時代のチームとしてあるべき姿なんじゃないでしょうか。ですからこれからの時代、各個人として必要とされるのは以下のことです。
- 自分の強みを把握する
これを整理できていないと、組織で自分がどう活躍できるのかがわかりません。 - 自分の価値観を知る
自分は何に喜びを感じるのか、どんなことをしたいのかを整理しておく必要があります。 - 自分以外は皆先生だと思う
隣の人は何か自分より優れたものを持っています。謙虚な気持ちで学ぶ姿勢が大切です。これはリーダーも同じです。 - リーダーは部下を信頼して任せる
なんでもかんでも自分が引っ張る時代は終わっています。信頼する勇気が必要です。 - リーダーは部下の価値観を尊重したマネジメントを行う
部下がどんなことを目指しているのか、それに合わせて部下を乗せていくのがうまいリーダーです。それには部下の事を知る必要があります。
筆者情報
尾原 和啓(おばら かずひろ、Kazuhiro Obara、1970年 – )は、日本の執筆家・IT批評家。インドネシア・バリ島に在住する傍ら、Fringe81執行役員や経産省対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザーも務める[1][2]。グロービス経営大学院「テクノベートMBA」特別講座講師[3]、BBT大学「ITビジネスの戦い方」講師[2]。
京都大学大学院工学研究科を修了後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入りNTTドコモの「iモード」立ち上げを支援。その後、リクルートに転じ、ネットベンチャーのケイ・ラボラトリー(現:KLab、取締役)、サイバード、オプト、Google、楽天の執行役員を経て現職。 楽天が11回目、 Fringe81(フリンジ81)が12回目の転職になる[4]。人と企業が信頼関係を築きながら仕事に応じて雇用関係を結ぶ新しい働き方を実践[1]。 ボランティアで「TEDカンファレンス」の日本オーディション、「Burning Japan」にも従事[5]。
Wikipediaより引用
マッキンゼーやNTTドコモ、Googleや楽天など、名だたる企業を渡り歩いたすんごい人です。もちろん本書の前にもベストセラーをお持ちです。せっかくですのでご紹介しますね。
1.ITビジネスの原理(NHK出版)
Kindle総合1位、年間ランキングビジネス書2年連続Top10
2.ザ・プラットホーム(NHK出版)
amazonのビジネスとITカテゴリでベストセラー1位、kindle総合1位を獲得
3.どこでも誰とでも働ける――12の会社で学んだ“これから”の仕事と転職のルール
4.アルゴリズム フェアネス もっと自由に生きるために、ぼくたちが知るべきこと
まとめ
以上、稼ぐために働きたくない世代の解体書 モチベーション革命(尾原和啓)について紹介しました。本書は若者(乾けない世代)と上の世代(乾ける世代)との価値観の違いについて、筆者の気付きを基にわかりやすく解説されています。彼らは決して無能なんではない。むしろ我々古い世代が人間本来の生き方を失ってしまっているとも言えます。彼らは今後社会の中心となっていく存在です。彼らを活かし切れないリーダーはもはやリーダー失格です。本書にはそのヒントがたくさん隠されています。まずは彼らを知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
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